先週、私が専門担当医をしている老人施設へ定期訪問で行ってきました。
こちらの職員の方はとても熱心で、
真剣に私の話に耳を傾けてくださいます。
今回は入れ歯ケースと付属品を持って訪問し、
手入れの仕方などを説明してきました。
数人の方のお口の中を見せてもらいましたが、
やはりお年寄りがご自分できれいに入れ歯を使って維持していくのは大変なことです。
是非、御家庭にお年寄りをお持ちの方にも覚えておいてほしいことを何点かご紹介します。
まず、入れ歯は御自分の歯と違い、自浄作用がありません。 自分の歯と同様、それ以上のお手入れを毎食後欠かさずする必要があります。
‐取り外し、きれいに水洗い。
‐ブラッシング。
‐入れ歯洗浄剤につけ保存。
‐取り付けの際は、洗浄剤から取り出し、きれいに水洗い。
お手入れを怠ると・・・
デンチャープラーク(入れ歯に着く歯垢:食べかすとそれを栄養としている細菌とそのかす)が付着し、義歯口内炎などを起こす原因となります。
義歯口内炎⇒刺激や圧迫により、入れ歯の床縁や接着面が浮腫状に起こす炎症。
誤嚥(ごえん)性肺炎⇒食べ物や唾液が誤って気管に入ってしまうことによって引き起こされる肺炎。就寝時、唾液を誤嚥し、唾液に含まれるている細菌によっても引き起こされてしまいます。高齢者、寝たきり老人の多く見られるます。
周囲の人たちで守ってあげましょう、お年寄りの口の中の健康。
※もちろん自分の歯を長持ちさせるのが最重要(これは若いころから気をつけておかなければなりません。)、最近はインプラントが浸透してきていますが、これもまた、歯の根っこの先にある骨が丈夫に保たれていなければ、打てない可能性があります。(虫歯予防・治療をきちんとしていないと、その怠りが長年にわたり骨に影響を及ぼします。)
御高齢の方は総入れ歯にすれば手入れが楽だと思い、総義歯を希望される方を多く見受けるのですが・・・毎食後の手入れは欠かせませんし、咀嚼能力は格段に落ちます。御家族の方が、お年寄りご自身の歯を一本でも多く健康に残せるよう、日頃のケアを心がけて頂きたいと思います。